秋散歩
穏やかな秋の土曜日に近所を散歩しました。12月に入っていたので、もう冬なのかもしれません。でもそこにある景色は秋の装いで、季節がゆっくり流れているのか、暦が先に行きすぎているのか、ともかくも色めき立つ秋でした。
ほら、公園のネコジャラシの穂だってキラキラしています。まるで光のかけらが生まれてくるように、風がふわふわと穂先をなでています。
舞い落ちた銀杏の葉が枯れ始めた芝生の上で静かに日の光を照り返しています。日だまりは昼寝のようにぼんやりとした空気に包まれますが、油断をすると冷気が忍び込む緊張感が漂います。
ほら、こんなにまぶしくキラキラと秋がそびえ立つのです。
地面に落ちた影が秋という生き物の存在を示すようにゆっくりと長く伸びています。広がって溶け合って影は光と隣り合わせです。
ほら、影の中にこんなにくっきりと光をつかまえて、12月だというのに秋はまだここに息づいています。冬が訪れたのはそれから2週間が過ぎてからでした。